Client/ProjectMaison YAYM 様Year2026ToolFigma(デザイン)/ STUDIO(ノーコード実装)/ Kling(AI動画生成)Background of the request(制作背景)「旅するハーブティー」というブランドを展開するMaison YAYM様より、Webサイトのリニューアルをご相談いただきました。Maison YAYM様は、日本各地の産地を実際に旅して出会った植物を、一杯のお茶としてお届けするセルフケアブランド。ハーブティーの販売にとどまらず、日常を整えるケアライン、心と体に寄り添う「満たされるファスティング」、セルフケアを学ぶオンラインスクールと、暮らしを整えるための活動を幅広く展開されています。産地に足を運び、生産者と言葉を交わし、その土地の空気ごとお茶にする。ここまで丁寧なものづくりをしているブランドは、そう多くありません。けれど既存のWebサイトでは、その一番の魅力である「旅」の物語が、ほとんど伝わっていませんでした。商品・ファスティング・スクールという複数のサービスがそれぞれ独立した情報として並び、ブランドとしての一貫した世界観が見えてこない。更新も滞りがちで、せっかくの活動がWeb上に反映されていない。「価値はあるのに、伝わっていない」もったいない状況がここにもありました。リニューアルの目的このリニューアルで最初に定めたゴールは、サイトを美しくすることではありませんでした。本当に必要だったのは、「旅するハーブティー」という物語を、サイトを訪れた人が数秒で体感できる状態をつくることでした。具体的には、次の3つを目的として設定しました。① ブランドの物語を、サイト全体の体験として設計する「一杯で、まだ知らない日本に出会う。」というブランドコンセプトを、コピーだけでなく、写真・映像・レイアウト・スクロール体験のすべてで語ること。ページを進むごとに、まるで産地を旅しているような感覚が生まれる構成を目指しました。② 複数のサービスを、一つの世界観のもとに束ねるハーブティー・ケアライン・ファスティング・スクール。それぞれ性質の異なるサービスを、「旅から生まれるセルフケア」という一つの軸で整理し、どのページを訪れても同じブランドの世界に居ると感じられる一貫性を持たせること。③ クライアント自身が、旅のたびに更新し続けられる仕組みをつくる産地への旅は、これからも続いていきます。その旅の記録が、専門知識がなくてもサイトに反映され続ける。「作って終わり」ではなく、ブランドと一緒に育っていくサイトにすること。どう整理したか(情報設計とライティング)■「物語の章立て」としてのページ構成まず取り組んだのは、サイト全体を一冊の本のように章立てし直すことでした。TOPページで「一杯で、まだ知らない日本に出会う。」という物語の入口を開き、コンセプト、ストーリー、プロダクト、ファスティング、スクールへと、読み進めるように各ページへ枝分かれしていく。単なるサービス紹介の羅列ではなく、スクロールするごとに物語が深まっていく構造を設計しました。■言葉の設計(コピーライティング)このプロジェクトの言葉づくりは、Maison YAYM様との共同作業でした。「植物は、土地の記憶を持っている。」「そのお茶には、土地の時間が溶けている。」「満ちることで、整っていく。」各ページの核となるコピーは、ブランドの想いを一番よく知るYAYM様ご自身が原案を作成。私はその言葉たちを受け取り、サイト全体で読んだときのトーンの統一・見出しとしてのリズム調整・英文キャプションの作成を担当しました。A quiet journey begins with a single cup. のような英文は、日本語コピーの余韻をそのまま英語に翻訳するのではなく、短く詩的に、同じ温度感で言い換えることを意識しています。ブランドの言葉を尊重しながら、デザインと響き合う状態に整える。そんな役割分担で、ビジュアルとトーンにズレのない世界観をつくりました。なぜそうしたのか(デザインの判断理由)■提案の骨格——3つのデザインピラーデザインに入る前に、ブランドコンセプト資料を作成してご提案しました。軸に据えたのは、次の3つのピラーです。01|Luxury × 日常特別な日だけのものではなく、毎日の暮らしに静かに馴染む上質さ。ホテルのアメニティのように、生活に溶け込む洗練を目指す。02|旅 × 記憶お茶を飲むたびに、産地の風景が浮かぶ体験。サイトを訪れるだけで、どこかへ旅する予感がするビジュアル設計。03|植物 × 時間植物は土地の記憶を持っている。その哲学をサイト全体のトーンに宿す。急かさない、ゆったりとした時間軸のデザイン。現行サイトは「元気・親しみやすさ」のトーンで情報量が多く、ブランドの物語が伝わりにくい状態でした。これを「余白と静寂で語る、ホテルライクな品格」へ。声高に主張せず、佇まいで語る方向へと舵を切る提案です。この方向性にご共感いただけたことが、プロジェクト全体の土台になりました。■① FVを「映画の一場面」にする。AI動画という選択このプロジェクトで最も特徴的な取り組みが、TOPページのファーストビューです。「旅している気分になれるサイトにしたい」。その想いを実現するために、静止画ではなく映像でFVを作ることを提案しました。ただし、映像素材の撮影を待っていては公開が遅れてしまう。そこで選んだのが、AI動画生成ツール「Kling」を使い、手元にある産地の静止画を動画に変換するというアプローチでした。生成した複数のカットを編集でつなぎ、まるで列車の車窓から産地の風景を眺めているような、映画のワンシーンのごとき映像に仕上げています。その上に「一杯で、まだ知らない日本に出会う。」というコピーを字幕のように重ねることで、サイトを開いた瞬間から旅が始まる体験をつくりました。素材が静止画しかなくても、映像の体験は生み出せる。制作コストと表現力を両立させた、このプロジェクトならではの挑戦でした。■② 世界観の軸は「料亭ホテルのような静謐さ」デザイントーンの軸に据えたのは、「料亭ホテルのような静謐さと品格を、日常の中に」という言葉でした。ラグジュアリーホテルのロビーに足を踏み入れたときのような、静かな高揚感。その空気感をデジタルで再現することを目指しています。具体的には、3つのトーン&マナーを設定しました。「静謐な高揚感」声高に主張せず、佇まいで語る空間設計。「日本の美意識」わびさびの精神とモダンラグジュアリーの融合、明朝体×欧文セリフによる日本的エレガンス。「詩的・余白のある言葉」説明しすぎず、想像を広げる表現。オフホワイトの背景に、墨色のテキスト。見出しには「植 物 ・ 産 地」のように文字間隔を大きく取り、日本語の佇まいそのものを美しく見せる。英語はセリフ体のイタリックで小さく添え、ゴールドの細いラインが視線を静かに導く。装飾を足すのではなく削ぎ落とすことで、ハーブティーの持つ透明感と、ブランドの品格を表現しています。■③ 下層ページのFVを統一し、「章の扉」として機能させる複数のサービスページに一貫性を持たせるため、下層ページのファーストビューを共通フォーマットで設計しました。左に産地の写真、右にペーパー地のテキストエリア。英語の小さなラベル、コンセプトコピーの見出し、ゴールドのラインを添えたサブコピー。この型をすべての下層ページで守ることで、どのページを開いても「同じ物語の続き」だと感じられる。それぞれのページが独立したサービス紹介ではなく、一冊の本の章扉として機能する設計です。■④ 「素人でも更新できる」ことを、デザインの一部と考えるMaison YAYM様の魅力は、旅が続いていくこと。だからこそ、旅の記録が更新され続ける仕組みまでを設計の範囲と捉えました。STUDIOのCMS機能で、コラム記事とは別に「旅の記録」専用のギャラリーCMSを構築。写真・場所名・ひとことコメントを入力するだけで、旅の記録ページに新しい一枚が追加される仕組みです。あわせて、記事投稿・画像差し替え・SEO設定など、運用に必要な操作をまとめたマニュアル(全9シート)を作成してお渡ししました。GA4の導入、全ページのタイトル・ディスクリプション設計、個人情報保護方針・特定商取引法に基づく表記などの法務ページ整備まで含めて、公開後に安心して運用できる状態を完成形としています。旅の記録を、ブランドの資産にするこのリニューアルでもう一つこだわったのが、「旅の記録」ページです。制作の途中、クライアント様から「旅した場所や撮った写真を紹介できるページがあれば」というご相談をいただきました。単なるフォトギャラリーとして作ることもできましたが、私はこれをブランドの根拠を蓄積していくページとして設計することを提案しました。佐賀の霧深い棚田、宇治の朝靄、富良野のラベンダー畑。一枚の写真に、場所と日付と短いエピソードを添えて、旅日記のように積み重ねていく。読み手はこのページで「このブランドは本当に産地を旅しているんだ」という確信を得る。商品ページの「産地直送」という言葉が、ここで初めて実感に変わります。旅を重ねるほどページが豊かになり、ブランドの説得力が増していく。更新すること自体がブランディングになる、そんな仕組みを目指しました。おわりにMaison YAYM様のリニューアルは、ディレクション・デザイン・AI動画制作・実装・運用設計までを一貫して担当したプロジェクトでした。コピーはYAYM様の言葉を軸に、トーンの統一と英文化で伴走しています。「旅するハーブティー」という言葉の中にある体験を、どうすればWebで再現できるか。その問いに対する答えが、映像で始まるFVであり、章立ての情報設計であり、旅とともに育つCMSでした。一杯のお茶の向こうに、まだ知らない日本の風景がある。そのことが、サイトを訪れた人に静かに伝わっていくこと。そんな入り口をつくるお手伝いができたことを、とても嬉しく思っています。https://maisonyaym.com/